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   【すべての始まりであり、あまりに重すぎる罪と罰】
            誰かは白にいくつかの夢を描いた。

      誰かがその夢の中で誤り、誰かがやり直した。
          誰かは白の無い世界で、黒を描いた。
    まだ解答の無い白に、
黒は答えを作ることにした。

​原作 瑞端uwEls

Starting 0.01

放射世界-FromEntrance-

歴史は人が思うようにただ流れるのでない。

神に成り得た者は一つだけ「訂正」の権力が備わり、「改めたいモノ」を来世以降に加えられる。

ただし、反映後から平均して一年。

「改めたいモノ」の代償を、ごく一部の生き物が負うことになる。

海洋神より「大干ばつ」、太陽神より「氷河期」、
好奇神より「運に全く恵まれない者達」が。全てが等価交換の上に成り立っている。

等価交換の対価に多くの生き物が費え、また多くの生き物が新しい姿へと進化してきた。

そして運命と確率が産み落とした致命的な欠陥を持つ「人間」と言う種。その駄作のほんのひと握りへ不幸が与えられる。

その不幸でさえ、《囁かな不幸》《死と等価の不幸》《死より重い不幸》と振り分けられている。

さらにひとつなぎの終極とされるend...を知ることが出来るのは、たった数人。そして神になるのは ただ一人。

そう考えるとするならば、けして不公平な権限ではない。希望を叶えるには絶望と言う犠牲が必要なのは、遥か何兆年前の生命体すら理解していたはずなのだ。

誰もが思い、信じようとする三種のセ界がある。

理想郷とは現実に一番遠く、未来に一番近い存在である。理想を全て現実化するのは困難だが、それを実現しようとする試みは未来を創る骨組みになる。

未来世とは現代にあり得ぬ上で、新幕にあり得る理想である。現代ではまだ不可能な事でも、それを積み重ねた新たなるセ界なら叶う。

新幕とは現在に最も望まれず、存在を望まれる未来である。実際に存在するか不明な未来だが、そう変わってほしいと理想を期待する。

今必要なのは実際に存在するかではなく、世界を改めようとする意志を強く持つこと。

「言葉にするのは簡単さ」

金色と純白に輝く光源から声がした。
《Dhu-be=Ren=Ayeo~-(デュービ・レン・カルシファー)》
神の始まりに位置する者の名前だ。

彼はこう続ける。

「現状。君が逃避したセ界には、colorfulに彩られた時の狭間に新しい命が誕生する」

「そのセイがどれほど罪深くとも、醜くとも、『ようこそ新世代の媒体』と誰もに祝福されるだろう」

「その一人である君よ。今こそ君の遺伝子の中まで共鳴させて、この素晴らしく未完成なセ界へ新しい音を奏でよう」

デュービは小さな光を優しくたぐり寄せる。

「誰の話なのかと不安そうな顔をする君に、現実世界に愛想つかした《少年A》の話を贈ろう」

金色は美しい髪へ、純白は透き通る肌へ。光はやがて、胎児の姿になった。

Dhuーbeが遥か電子世界の上空へ胎児を持ち上げると、おびただしい数の青い文字が噴き上げて空に散らばり真っ白な雲が生まれた。

やがて小さな雲たちは寄せ集まり、積乱雲になると雨を生み、大地をつくった。

凄まじい勢いで胎児の身体は、美しく実りある大地の色をした髪を持つ少女へ成長した。

「Qualia(何か)。君が理想そのものなんだ」

この限りなく広がるセ界(canvas)は、Dhu-beの"何か"を何度でも描くために此処にある。その"何か"を、ある日は"夢"と呼び。ある日は"奇跡"と呼び。ある日は"運命"と読んだ。

彼はそのかけがえのない"何か"を、大層愛した。
これから、このキャンパスに描くであろう全てに
この"何か"を少しずつ与えよう。

かつて。そしてこれからのLeden・Arcade・Beseが、親愛なるロボット達に"全ての感情をひとつ残さず"託したように…

これから描くのはパンドラの匣の中へ唯一、

"希望"のみが残されたセ界"Eraser_Mugic"の話。

君が読んでいる、そのセ界の物語である。つまりこの物語は、その神が描いた全ての"何か"を書き記す、Dogmaなのである。

Starting 0.02

エデンの園と呼ばれた、その土地には一匹の金色を帯びた牡羊と、色を持たず盲目な二匹の牝羊がいた。

”盲目な”と言う表現は”関心がない”​ではなく、
実際に現実と言うものが存在していないこのセ界では、妄想とも虚言とも表現できない状態。

​とどのつまり、精神セ界に籠りっきりなのだ。​

新緑に萌えるクオリアの姿も、熟れた鬼灯のようなエリザベスの姿もデュービ以外知る者はいない。

最も、これこそデュービの精神セ界と言えるのかもしれない。それは彼以外、誰も《彼が視えているセ界》と断言出来ないのだから。

ここはまだ"世界"になる前の"セ界"。答えと言う道さえない未開の土地、全ての始まりの地点なのだ。

「一つ。新しい話を作ってみせようか」

牡羊は地面を薄く抉る。そこには小さな種が植わっていた。

「樹は大地に育つもの。そして奇跡は自分で起こすもの」

種を自らで舐めとり、飲み込んでみせた。すると彼の角はみるみる枝分かれを始め、あっという間に白い樹木になった。

「話が難し過ぎるかな?僕はこう言いたいんだ」

樹木はいくつかの赤く熟れた美しい果実を実らせた。けれどその中に"禁断の果実"と言われる金色の実はなかった。

「罪は紛れているものではなく、自らがそう染め直すものだと」

 

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